はじめに
AFUL の Performer シリーズは、独自の音響チューブ構造と RLC ネットワークによって、タイトで情報量の多いサウンドを生み出すのが特徴だ。
今回の Performer 5+2(Performer 7) は「Performer 5 の進化版」とされるが、実際に聴くと Performer 8 の“穏やかで扱いやすいバージョン” に近い仕上がりだった。
低域は量感を維持しつつ膨らまず、中域はスッキリ整い、高域は伸びるが刺激は控えめ。
Performer 8 と似ているポイント・違うポイントを踏まえ、“どう聴こえるか”を中心にまとめていく。
試聴環境
- DAP:iBasso DX340(4.4mmバランス)
- 音源:Apple Music(ロスレス)
- イヤーピース:純正(付属品)
音の骨格
Performer 5+2 (Performer 7) は、AFUL特有のタイトで制動されたサウンドを維持しながら、
Performer 8 よりも中域が自然で、高域のクセが抑えられた落ち着いたチューニングが特徴。
低域は量と締まりを両立し、中域はスッキリ整理され、高域は伸びるが刺さらない。
スペック
- ドライバー構成:2DD + 4BA + 1 Micro Planar
- インピーダンス:15Ω ±20%
- 音圧感度:109dB @ 1kHz
- 再生周波数帯域:10Hz–35kHz
帯域ごとの詳細レビュー
低域
Performer 8 と非常に近い質感。
深く沈むサブベースとタイトなミッドベースが特徴で、量感も十分だが膨らまない。
違いはわずかで、
- 5+2 → ややタイトで締まりが良い
- 8 → わずかに厚みがある
2DD 構成の恩恵でレスポンスも良好。
中域
最も変化が分かりやすい帯域。
- ボーカルが自然に前へ出る
- レイヤーが重なりにくく、全体がスッキリ整理されている
- Performer 8 で目立ちやすいクラッシュの“ジャキッ”とした硬さがかなり軽減
- ギターの輪郭も自然で聴きやすい
Performer 8 より自然で、長時間でも疲れにくい中域になっている。
高域
伸びやかに広がるが、必要以上に硬くならない。
- Micro Planar によるスムーズな超高域
- BA 高域のエッジは残るものの、8より主張は控えめ
- シンバル類の硬さが抑えられ、バランス良く馴染む
情報量は十分だが、Performer 8 のような“鋭さで押す”感じは抑えられている。
解像度・分離・音場
- 解像度:高め(自然寄り)
- 分離:優秀
- 音場:横方向は広め、奥行きは標準的
AFULらしい整理されたステージングで、トラック数の多い曲でも破綻しない。
音のキャラクター(温度感・質感)
- 温度感:クール寄り
- 質感:クリアで透明感がある
- 傾向:
- タイト
- スピード感
- ナチュラルで聴きやすい
Performer 8 に比べて全体が少し丸く、扱いやすい方向に寄せたキャラクター。
長時間使用で見えたこと
聴き込むほどに、
- 低域の締まりの良さ
- 中域の自然さ
- 高域の扱いやすさ
がバランス良く機能していると感じる。
高域の刺激が出にくいため、長時間のリスニングでも疲れづらい。
Performer 8 を「ちょっとキツいな」と感じた人には、こちらの方が確実に向く。
弱点・注意点
- 解像度は高いが、8ほど“鋭さでドンと押してくる”タイプではない
- 高域は穏やかめなので、派手さ・強いキラキラ感を求める耳には物足りない可能性
- 低域はあくまでタイト寄りで、分厚く盛った低音を求める場合とは方向性が違う
■ Performer 8 との比較(要点まとめ)
| 項目 | Performer 5+2 (Performer 7) | Performer 8 |
|---|---|---|
| 低域 | ほぼ同質・わずかにタイト | 少し厚みがある |
| 中域 | 自然で整理されている | 明瞭だが硬さが出ることあり |
| 高域 | 伸びるが刺激少なめ | 8〜10kHzのピークで硬く出る |
| 解像度 | 高い(自然方向) | 高い(鋭さ方向) |
| 聴き疲れ | 出にくい | 曲によっては出る |
| 総合 | バランス型・扱いやすい | シャープで情報量特化 |
一言でまとめるなら、
Performer 5+2 = Performer 8 の“整理されて自然になったバージョン”
という評価がしっくり来る。
結論
AFUL Performer 5+2 (Performer 7) は、
Performer 8 と同系統のタイトで情報量のあるサウンドを、より自然で扱いやすく調整したモデル。
- 低域:量と締まりのバランスが良い
- 中域:自然でスッキリ
- 高域:伸びるが刺さらない
- 全体:刺激を抑えた、疲れにくいAFULサウンド
「Performer 8 は好きだけど、高域の尖りがちょっと気になる」
そんな人には、5+2 はかなりハマるはず。



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