Kiwi Ears Aether レビュー | モニター的なのに心地よい、“平面一発の完成形”

音楽

はじめに

Kiwi Ears Aether は 15.3mm の平面磁気ドライバー単発という珍しい構成を採るイヤホンだ。
一般的な“平面=刺さる/薄い”というイメージとは違い、非常に自然で扱いやすい音に仕上がっている。

結論としては、

クリアでニュートラル。女性ボーカルが特に美しい。
平面ドライバーの長所を活かしつつ、欠点は最小限に抑えたバランス型。


試聴環境

  • DAP:iBasso DX340(4.4mmバランス)
  • 音源:Apple Music(ロスレス)
  • イヤーピース:純正(付属品)

音の骨格(どんな音か、一言で)

Aether の軸になる特徴は次のとおり。

  • タイトで速い低域
  • クリーンで前に出る中域
  • 伸びるが刺さらない高域
  • ニュートラル寄りで透明感重視のバランス
  • 平面一発らしい分離とレイヤーの見やすさ

“癖の少ない平面モニター”という言葉がしっくりくる。


スペック

  • ドライバー:15.3mm Planar Magnetic Driver
  • インピーダンス:14Ω
  • 音圧感度:105dB
  • 再生周波数帯域:20Hz〜20,000Hz

帯域ごとの詳細レビュー

低域

  • アタックが速く、濁りがない
  • 余韻は短く、引き締まっている
  • 量感は控えめ
  • 深い沈み込みよりも正確さ優先

“重さや迫力より、スピードと整理感”に振っている低域。


中域

Aetherの最も魅力的な帯域。

  • 自然に前へ出る定位
  • 歪みの少ない純度
  • 女性ボーカルの抜けが良い
  • 過度な味付けのない素直な鳴り方

見通しの良さが際立っている。


高域

  • スムーズに伸びる
  • 刺さりがほぼない
  • 粒立ちが細かい
  • 情報量は多いが派手すぎない

平面らしい解析力があるが、耳当たりは穏やか。


解像度・分離・音場

  • 解像度は高く、細部が見やすい
  • 分離は優秀で各パートの重なりが少ない
  • 音場は前後方向が明瞭
  • 混雑した曲でも破綻しにくい

無理に広げず、自然で整った空間を作るタイプ。


音のキャラクター(温度感・質感)

  • 温度感はややクール寄り
  • 質感は滑らか
  • 音色はニュートラルで素直
  • 平面特有の硬質さは弱め

音の“角”が立たず、聴きやすくまとまっている。


長時間使用で見えたこと

  • 刺さりが少なく長時間でも疲れにくい
  • ボーカルの距離感が安定して近い
  • 女性ボーカルの良さが継続的に際立つ
  • 男性ボーカルはやや軽めに感じる場面あり
  • 低域の量感不足は曲によって気になる

リスニング用途では扱いやすく、万能感もあるが迫力は控えめ。


比較した機種について

今回比較に挙げた LETSHUOER S12 2024 Edition と KZ PRX は、どちらも
平面ドライバー単発(Planar Single Driver) を採用している。

平面一発は構造・音の出方が独特で、
DDやBAとの比較より “同じ平面単発同士” が最もフェア と判断したため、この2機種を選んでいる。


LETSHUOER S12 2024 Edition との比較

音の方向性

  • Aether:ナチュラルで整ったバランス
  • S12 2024 Edition:明瞭で金属質寄りの明るいサウンド

低域

  • Aether:タイトで軽め
  • S12 2024 Edition:やや膨らみやすく量も出る

高域

  • Aether:滑らかで刺さらない
  • S12 2024 Edition:輝度が高く刺激的になりやすい

結論

自然で疲れにくい音が好みならAether。
キラキラ感や派手さを求めるならS12 2024 Edition。


KZ PRX との比較

音の方向性

  • Aether:フラット寄りで素直
  • PRX:V字寄りで派手でエネルギッシュ

低域

  • Aether:控えめ
  • PRX:厚みと押し出しが強い

中域

  • Aether:自然で前寄り
  • PRX:後方寄りで煌びやかさが強い

高域

  • Aether:滑らかで抑えめ
  • PRX:主張が強く尖りやすい

結論

自然さ・透明感ならAether。
刺激と迫力が欲しいならPRX。


まとめ

Kiwi Ears Aether は、平面ドライバーの透明感と正確さを自然な方向へ整えた、
完成度の高い単発平面だ。

  • 女性ボーカルとの相性は非常に良い
  • 中域の抜けが良く、前に出る定位
  • 高域は伸びるが刺さらない
  • 低域と男性Voの軽さは弱点

派手ではないが、ニュートラルで見通しのよい平面サウンドを求める人に強くおすすめできる。

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