はじめに
これまで数多くのTWS(完全ワイヤレスイヤホン)を購入し、実際に使ってきました。音質に惹かれて選んだもの、ANC性能や機能性を期待して手に取ったもの、そして実用性を重視して使い続けているもの。それぞれに個性があり、気分やシーンによって使い分けるのが楽しいガジェットです。
IER-Z1Rなどの有線IEMを鳴らすDAPも持ち歩いていますが、実際に稼働率が高いのはやはりTWSです。移動中にノイズを抑えて集中したいとき、宿で作業用にBGMを流したいとき、街歩きで気軽に音楽を楽しみたいとき——そうした日常のあらゆる場面を支えてくれるのがTWSだからです。
今回は、これまでに数多く試してきた中から、現在も旅や仕事に連れ出している愛用機たちを紹介していきます。
ハイエンド枠 ― 特別な時間を支える相棒
NUARL Innovator
最初に挙げたいのはNUARLのフラッグシップ、Innovatorです。解像度の高さ、低域の自然な量感、全体に漂う透明感は、TWSという枠を超えてピュアオーディオ的な満足感を与えてくれます。ANCや機能性ではソニーやBOSEに譲る部分もありますが、それを補って余りある「音質そのものの良さ」があるのが特徴です。
僕にとっては「ここぞ」というときに選ぶ一本。静かな宿でじっくり音楽に没頭したい夜、Z1Rを取り出さずにこれを耳に入れるだけで、旅先の時間が一気に豊かになります。
SONY WF-1000XM5
ソニーのWF-1000XM5は「万能」という言葉が最も似合う一本。業界最高水準のノイズキャンセリング性能は飛行機や新幹線など移動中に重宝し、音楽に没入する環境を作り出します。低音はしっかり沈み込むのに濁らず、中高域も自然で聴き疲れしにくい。外音取り込みの自然さも含めて「どの場面でも安心して使える」一本です。
Apple AirPods Pro 2
AirPods Pro 2は利便性で群を抜いています。ケースを開ければ即座に接続し、Apple製品間の切り替えもシームレス。iPhoneやiPadはもちろん、Macとの相性も抜群で、オンラインMTGではその真価を発揮します。接続が安定しており、通話音質もクリアなので、ZoomやMeetといった会議ツールでも安心。旅先で仕事をする場面では、MacとAirPods Pro 2の組み合わせが欠かせません。
音は落ち着いたチューニングで長時間でも疲れにくく、動画視聴や作業用BGMにも最適です。ノイズキャンセリングも十分に効き、カフェや宿で集中したいときにも役立ちます。さらにケースが非常にコンパクトで持ち歩きやすく、充電の心配も少ないのは旅先で大きなメリット。総じて、利便性・信頼性・実用性の三拍子が揃った「旅の常用機」です。
BOSE QuietComfort Ultra Earbuds(第1世代/第2世代)
BOSEは「まず静寂を作る」ことに徹底しており、そのANC性能は圧巻です。特に飛行機やバスの移動中、BOSEのイヤホンを耳に入れると一気に外界が遠のく感覚があります。第2世代は装着感が改善され、耳への負担が少なくなり長時間でも快適。移動中に静けさが欲しいとき、必ず頼る一本です。
シーン特化・オーディオ志向のTWS
Samsung Galaxy Buds3 Pro
Galaxyユーザーなら外せないモデル。S25 Ultraとの組み合わせで低遅延かつ快適な体験が得られます。ケースが薄型で携帯性に優れ、気軽に持ち運べるのも旅先では大きなメリット。音質はクリアでボーカルが前に出るバランスで、動画視聴やゲーム用途でも重宝します。
DENON PerL Pro
「TWSでも音質を妥協したくない」ときに選ぶ一本。Masimoの技術で個人の聴覚特性を測定し、最適化された音を鳴らしてくれるのが特徴です。解像度や空間表現はTWSの枠を超えており、有線IEMに迫るリスニング体験を提供してくれます。宿やカフェで腰を据えて音楽を聴くときに頼れる存在です。
Final ZE8000 mk2
Finalらしい繊細で立体的な音作りが魅力。広がりのある音場ときめ細かい表現力で、クラシックやジャズなど生音系のジャンルに特に向いています。ANC性能は控えめですが、静かな環境で聴くとその実力が際立ちます。旅先の夜にじっくり音楽に没頭する時間に最適な一本です。
コスパ × 実用性枠
Anker Soundcore Liberty 4 Pro
価格に対して完成度が非常に高く、特に低音の厚みと派手めな中高域はポップスやEDMを楽しく聴かせてくれます。ANCや外音取り込みも備えており、日常の使い勝手に不足はありません。ケースが小さく、バッテリーの持ちも良好で「気軽に使える常用機」として旅先で重宝します。
Anker Soundcore Liberty 5
最新世代で機能性と音質が進化。ANCやマルチポイントが強化され、アプリで細かなEQ調整も可能です。音質はフラットではなく派手なドンシャリチューニングで、低域が分厚く高域も鮮やかに抜けるため聴いていて気分が上がります。解像度も前世代から向上し、派手さと鮮明さを兼ね備えたサウンド。一本で旅を完結できる安心感があり、万能機として完成度が高いモデルです。
まとめ
旅や多拠点生活において、TWSは欠かせない存在です。移動中に静寂を手に入れたいときにはソニーやBOSEを選び、利便性を求める場面ではAirPods Pro 2を。MacでのオンラインMTGでもAirPods Pro 2が大活躍し、Galaxyとの親和性を重視するならBuds3 Proが便利です。音質を追求したいときにはDENONやFinalを、そして特別な夜にはNUARL Innovatorを選びます。さらに、気軽に安心して使える一本としてAnkerのシリーズが常に支えてくれる。
こうした使い分けをすることで、旅先の体験は格段に快適で豊かになります。香水を季節や気分で選ぶように、イヤホンも場面や目的に合わせて選ぶことで生活の質が大きく変わる。音楽の聴き方ひとつで移動のストレスが和らぎ、作業がはかどり、夜のひとときが特別な時間になるのです。
結局のところ、僕にとってTWSはただのガジェットではありません。旅を支え、生活を彩る相棒です。そして新しいモデルが登場すれば、また試さずにはいられないでしょう。TWSを使い分けること自体が、旅をより楽しくするスタイルになっているのだと思います。
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