Spotifyロスレス音質を試してみた|Apple MusicやQobuzとどこが違う?

音楽

はじめに

長らく「いつ来るのか」と言われ続けてきた Spotify のロスレス配信が、ついにスタートしました。
Apple Music や Amazon Music がすでにロスレス・ハイレゾを標準搭載していた中で、Spotify だけが遅れていた状況。ようやく Premium 会員向けに FLAC 24bit / 44.1kHz のロスレスが解禁され、業界標準に追いついた格好です。

普段から複数の IEM と DAP を使っているので、実際にロスレス音質を試してみました。この記事では仕様と他社比較、そして体感した違いをまとめます。


Spotifyロスレス配信の仕様

項目内容
利用条件Premium会員のみ(無料プランは対象外)
対応国・地域50カ国以上(日本を含む)
フォーマットFLAC ロスレス
最大音質24bit / 44.1kHz(CD品質相当+α)
設定方法アプリ設定 → Media Quality → Lossless を選択
注意点Bluetooth接続では効果が薄い。有線再生・Wi-Fi環境推奨

他社との比較

サービス最大音質特徴料金
Spotify24bit / 44.1kHz (FLAC)ようやくロスレス対応。ただしハイレゾ未対応Premiumで追加料金なし
Apple Music16bit/44.1kHz ~ 24bit/192kHz (ALAC)ロスレス+ハイレゾ両対応。AirPlayや有線で真価発揮追加料金なし
Amazon Music Unlimited最大 24bit/192kHzHD/Ultra HD 音源が豊富Unlimited内で提供
Qobuz最大 24bit/192kHz (FLAC)ハイレゾ配信に強く、クラシックやジャズのカタログが充実Hi-Res対応は通常プラン内に含まれる

実際に聴いてみた感覚

正直に言うと、「Ogg 320kbpsと比べると音良くなったかな?」くらい。劇的な変化というより、じっくり聴いてこそわかる差です。

  • 違いを感じやすい場面
    • ピアノやアコースティック曲での余韻・空気感
    • ボーカルの息遣いや定位の自然さ
    • 高性能 IEM を有線で使ったとき
  • 違いが分かりにくい場面
    • EDMやロックなど音圧の高い曲
    • Bluetoothイヤホンでの再生(結局コーデックで再圧縮される)
    • 作業BGMや街中でのながら聴き

実際の再生環境での体験

今回試したのは iBasso DX340 と Sony IER-Z1R の組み合わせです。
この環境で Spotify のロスレスを再生したところ、従来の Ogg 320kbps よりも 音場の広がりと余韻の自然さ が明らかに向上していました。

特にアコースティック系の楽曲では、ギターの弦が弾けた瞬間から消えるまでの空気の震えがより滑らかに残ります。
一方で EDM やロックのように音圧が高いジャンルでは差が埋もれがちで、「ながら聴き」では気づきにくいレベル。

結論としては「集中して聴けば確かに違う」と感じられるが、ハイレゾに対応すればさらに大きな進化を見せるはずです。


メリットと限界

  • メリット
    • Premiumプランの範囲内で追加料金なし
    • 空間表現や余韻の自然さが改善
    • CD品質で音源を楽しめる
  • 限界
    • ハイレゾ(96/192kHz)は非対応 → AppleやAmazon、Qobuzには及ばず
    • 再生機器や接続方法で差が出る
    • データ通信量・ストレージ消費は増える

Spotifyの強みは別のところにある

音質だけで比較すると、正直なところSpotifyが特別優れているわけではない。しかし、Spotifyには他にはない強みがある。

レコメンデーション機能の精度
これは本当に素晴らしい。Discover WeeklyやRelease Radarの精度は他のサービスの追随を許さない。新しい音楽との出会いという点では、Spotifyが圧倒的だ。

プレイリストの充実度
ユーザー作成のプレイリストも含めて、その数と質は他のサービスを凌駕している。特定のムードや作業用BGMを探す時、Spotifyほど便利なサービスはない。

デバイス連携
Spotify Connectによるシームレスなデバイス切り替えは、一度使うと手放せなくなる。スマホで聴いていた音楽を、そのままPCやスマートスピーカーに引き継げる便利さは格別だ。

まとめ

Spotify のロスレス配信は、オーディオマニアにとっては「待たされすぎたようやくの第一歩」ですが、一般ユーザーにとっては「これで Spotify を選んでも安心」という安心感を与えるものになっています。

Ogg Vorbis 320kbps からの進化は確かに感じられるものの、劇的な変化ではありません。違いを実感できるのは、良いイヤホンやDAPを使い、有線接続で静かな環境で集中して聴くとき。ながら聴きでは「なんとなく良いかも」程度の印象にとどまるでしょう。

それでも、Premium 会員なら追加料金なしでロスレス音質を楽しめる点は大きな魅力です。これまで Apple Music や Amazon Music、さらには Qobuz に流れていたハイファイ志向のリスナーを呼び戻す力もあるはず。

今後はハイレゾ対応や Bluetooth コーデックの改善が課題になりますが、今回のアップデートは Spotify が「音質面でもようやく他社に肩を並べた」ことを示す出来事です。日常的に Spotify を使っているなら、迷わず設定をオンにして体験してみる価値があります。

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