Boseの完全ワイヤレスイヤホン「QuietComfort Ultra Earbuds」に第2世代が登場しました。初代モデルから愛用している僕が実際に使い比べてみると、ノイズキャンセリングは確かに強化されたものの実用差は微妙、通常音質はほぼ同等、そしてイマーシブオーディオだけが大きな進化点という結論に。
本記事では初代ユーザー目線で、両世代を比較した率直なレビューをまとめます。
レビュー環境と試聴条件
- 使用デバイス
- iPhone 15 Pro Max(Apple Music / AAC再生)
- iOSはAAC固定。Apple Musicロスレス音源も実質AAC 256kbps相当。
- Galaxy S25 Ultra(Qobuz / aptX Adaptive)
- Snapdragon環境+aptX Adaptive対応。最大24bit/96kHzのハイレゾストリーミングを利用。
- iPhone 15 Pro Max(Apple Music / AAC再生)
- 接続コーデック
- iOS:AAC
- Android:aptX Adaptive
- 試聴ジャンルと楽曲
- EDM:David Guetta – Titanium (feat. Sia)
- メタル:BABYMETAL「METAL FORTH」アルバム、DragonForce – Through the Fire and Flames
- J-POP:YOASOBI – アイドル、宇多田ヒカル – First Love、星街すいせい – ビビデバ
- 音量設定
- 両方とも60%前後に固定して比較
- 音圧の違いに惑わされないよう、条件を統一
デザインと装着感
QuietComfort Ultra Earbuds 第2世代は、外観デザイン自体はほぼ初代と同じです。シェル形状やサイズ感、装着方式に大きな変更はなく、見た目で分かる違いはカラーバリエーション(色味の仕上げ)が微妙に変わった程度。
サイズ感と耳への収まり
- 初代も第2世代も耳へのフィット感は同じで、イヤーピース+スタビライザーウィングでしっかり固定。
- この「しっかり感」がBoseらしいメリットでもあり、頭を振ったりランニングしてもズレにくい安心感があります。
- 反面、小耳の人には厳しい。特に耳甲介が小さい人は筐体が外耳に乗っかるような感覚になり、長時間だと圧迫感を感じる場合があります。
重さと装着疲労
- 片耳約7.1g(初代も第2世代もほぼ同じ)で、完全ワイヤレスとしてはやや重め。
- AirPods Pro 2が片耳5.3g、WF-1000XM5が約5.9gなので、Boseは明確に重い。
- ただし重心設計が良く、耳道に負担が集中しないため「重い割に落ちにくい」。僕自身は2〜3時間装着しても耳が痛くなることはありませんでした。
ケースと使い勝手
- ケースのサイズや形状もほぼ同じ。ただし第2世代からワイヤレス充電対応になったのが大きな進化点。
- 普段MagSafeやQi充電器を使う人にはかなり便利で、USB-Cケーブルを抜き差ししなくても済むのは快適です。
- ケースの質感は樹脂製で高級感は控えめ。ただし実用性を重視した“Boseらしい道具感”があります。
総じて、外観は初代とほぼ同じだが色味が刷新され、ワイヤレス充電対応が加わったというのが第2世代のデザイン面での違いです。
ノイズキャンセリングを比較
Boseの代名詞といえばノイズキャンセリング(ANC)。第2世代は確かに改良されていますが、効きが劇的に強くなったわけではなく“静けさの質が自然になった”という進化です。
静寂感の質の違い
- 初代:エアコンや電車の走行音のような定常的なノイズはしっかり消える。ただし人の声や高音域はうっすら残る。
- 第2世代:遮音性能そのものは初代と同等。ただし背景のノイズフロアがわずかに下がり、より自然な静けさに感じられる。
使用シーンでの差
- 電車内:走行音は両世代とも見事にカット。差はわずかだが、第2世代はアナウンスや人の声が“ほんの少し”後ろに下がる。
- カフェ:初代も十分にBGMや話し声を抑えるが、第2世代はより自然に馴染む静寂で、長時間聴いていて疲れにくい。
ANCのチューニングの違い
- 初代は消音効果がやや「強め」に感じられ、静けさを作る代わりに圧迫感を覚える人もいた。
- 第2世代はその圧迫感が軽減され、長時間装着でも耳が詰まる感じが減っている。
結論として、第2世代は「効きが大きく上がった」のではなく「自然さが増して疲れにくくなった」。初代で満足している人にとっては実用差は微妙です。
音質を比較(ジャンル別レビュー)
EDM
試聴曲:David Guetta – Titanium (feat. Sia)
- イマーシブOFF:両世代ともSiaのボーカルがしっかり前に出て、キックのアタックも力強い。初代の時点で完成度は高く、低域の沈み込みも十分。
- イマーシブON:第2世代ではボーカルが中央に自然に定位し、シンセとビートが後方に大きく広がる。音場が立体的になり、没入感が得られる。初代は低域がやや人工的にブーストされた感覚があり、自然さでは第2世代に軍配。
メタル
試聴アルバム・曲:
- BABYMETAL「METAL FORTH」アルバム
- DragonForce – Through the Fire and Flames
BABYMETAL「METAL FORTH」
- イマーシブOFF:両世代ともリフの切れ味やキックの迫力はしっかり出ており、音が潰れることなく安定。
- イマーシブON:第2世代ではライブステージのような奥行きが出て、ギター・ドラム・ボーカルの分離がより自然。サウンドの重厚さが整理され、没入感が強まる。
DragonForce「Through the Fire and Flames」
- イマーシブOFF:両世代とも超高速リフと複雑なドラムに破綻せず追従でき、疾走感を損なわない。
- イマーシブON:第2世代ではシンバルや高音が耳に刺さらず自然に広がる。音数が多くても分離感が保たれ、快適に聴ける。
J-POP
試聴曲:
- YOASOBI – アイドル
- 宇多田ヒカル – First Love
- 星街すいせい – ビビデバ
YOASOBI「アイドル」
- イマーシブOFF:両世代ともボーカルが前に出てリズムの勢いを表現。ただし初代は音の重なりがやや窮屈。
- イマーシブON:第2世代ではビートとシンセが自然に展開し、ボーカルが中心に定位。ライブ感が増し、没入度が高まる。
宇多田ヒカル「First Love」
- イマーシブOFF:両世代とも中域の厚みは十分。声の存在感も確かだが、やや平面的。
- イマーシブON:第2世代ではピアノの余韻とボーカルが自然に分離。初代はボーカルにEQ感が残るのに対し、第2世代はより素直に響く。
星街すいせい「ビビデバ」
- イマーシブOFF:両世代とも迫力はあるが、初代は空間の広がり方が人工的。第2世代は定位が安定し、まとまりが良い。
- イマーシブON:第2世代ではシンセの高音が自然に広がり、ボーカルも前に定位。レイヤーの分離が良く、長時間でも聴き疲れしにくい。
ジャンル別まとめ
- EDM(David Guetta – Titanium):低域の自然な広がりで第2世代が有利。
- メタル(BABYMETAL「METAL FORTH」 / DragonForce):情報量の多い曲でも第2世代は刺さらず分離感良好。
- J-POP(YOASOBI / 宇多田ヒカル / 星街すいせい):第2世代はイマーシブON時の自然さが際立ち、ボーカル主体の楽曲で特に有利。
バッテリーと機能性
- バッテリー持ちは最大6時間(イマーシブON時は約4時間)。初代とほぼ同等。
- Bluetooth 5.3対応でaptX Adaptiveもサポート。ただしiPhoneユーザーはAAC止まり。
- マルチポイント接続は便利で、PCとスマホを同時につないで使えるのは実用的。
初代ユーザー視点のまとめ
QuietComfort Ultra Earbuds 第2世代は確かに進化していますが、違いを感じるのはイマーシブオーディオだけ。
- ノイズキャンセリング:効きは改善されているが、差はごくわずか。実用差は微妙。
- 通常音質:ほぼ同じ。買い替えの決定打にはならない。
- イマーシブオーディオ:自然で没入感が増し、ここだけは確実に進化を実感できる。
競合モデルとの違い
AirPods Pro(第2世代)との比較
- ノイズキャンセリング:Boseが一歩上。
- 音質:低域の迫力や広がりはBose有利。
- 機能性:iPhone連携の利便性ではAirPods Pro 2が圧倒的。
iPhone中心の生活で便利さ重視 → AirPods Pro 2。
音とANCを突き詰めたい → Bose。
Sony WF-1000XM5との比較
- ノイズキャンセリング:抑え込みの自然さでBoseが優位。
- 音質:解像度の高さはSony、低域の押し出しはBose。
- 機能性:調整機能やアプリの豊富さはSony。Boseはシンプル。
音の細部までこだわりたい → WF-1000XM5。
楽しくパワフルに聴きたい → Bose。
結論:どれを選ぶべきか?
- iPhoneユーザーで利便性重視 → AirPods Pro 2
- 解像度や細かな調整を求めるオーディオ志向 → Sony WF-1000XM5
- 没入感のある空間表現や、より自然な低域の沈み込みを楽しみたい → Bose QuietComfort Ultra Earbuds 第2世代
正直なところ、初代と第2世代の差はそこまで大きくありません。通常の音質やノイズキャンセリングはほぼ同等で、進化を実感できるのは主にイマーシブオーディオと低域の自然な沈み込み。
そのため「初代からわざわざ買い替えるほどではない」が、これから新しく買うなら第2世代を選んだ方が間違いないというのが率直な結論です。
まとめ
QuietComfort Ultra Earbuds 第2世代を使ってみて感じたのは、確かに進化しているが、買い替えるほどの決定的な差はないということです。
ノイズキャンセリングはわずかに自然さが増したものの、初代の時点で十分世界トップクラス。通常の音質も大きな違いはなく、普段使いで「あ、全然別物だ」と思う瞬間はほとんどありません。違いがはっきり体感できるのはイマーシブオーディオのみで、これをどう評価するかが第2世代の最大のポイントです。
イマーシブオーディオは、初代では「不自然なEQ感」が気になる場面がありましたが、第2世代ではようやく“自然な立体音響”として楽しめるレベルに仕上がりました。ライブ音源やシネマティックなサウンドを多く聴く人には魅力的な強化点でしょう。ただし、すべての音楽ジャンルで必須になる機能かといえば、そうでもありません。イマーシブを常用する人でなければ、進化を実感できる場面は限定的です。
したがって、初代をすでに持っている人にとって、第2世代は「買い替え」ではなく「買い増し」に近い存在です。初代で不満を感じていないなら、無理にアップデートする必要はありません。逆に、空間オーディオの進化に価値を感じる人、あるいはBoseを初めて導入する人には、第2世代は間違いなくおすすめできます。
言い換えると、第2世代は「Boseの静寂と迫力を初めて手にする人」にとってベストな選択肢であり、初代ユーザーにとっては“もう一歩進んだリスニング体験が欲しい人向けのアップグレード”です。
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