はじめに
技術書サブスクというジャンルは、ずっと「需要はあるのに決定打がない」状態が続いてきた。
O’Reilly Japanの実質撤退以降、その空白はなおさら大きい。
そんな中で登場したのが TechLib(テックリブ)。
ITエンジニア向け技術書に特化した読み放題サービスということで、少し気になって触ってみた。
結論から言うと、
- 方向性はかなり良い
- 価格設定も正直かなり安い
- ただし、現時点では冊数が少ない
この3点に集約される。

TechLibとは何か(事実ベース)
TechLibは、インプレスグループと丸善CHIホールディングスが設立した合弁会社による、ITエンジニア向け技術書のサブスクリプションサービス。
主な特徴は以下の通り。
- ITエンジニア向け技術書の読み放題
- プログラミング/AI/インフラ/資格関連などが中心
- 電子書籍形式
- タイトル・目次・本文を対象にした全文検索に対応
- 複数キーワード検索(AND / OR)および除外キーワード指定に対応
- コードのコピー&ペーストが可能(書籍による制限あり)
単なる電子書籍棚ではなく、技術書をリファレンスとして使うことを強く意識した設計になっている。
実際に使って感じた良い点
本文全文検索が実用的
TechLibの一番の強みは、本文まで含めた全文検索だと思う。
単語単体の検索だけでなく、
- 複数キーワードのAND / OR検索
- 不要な語を除外した絞り込み
といった検索ができるため、
「この技術、どの本でどう説明されていたか」を横断的に探す用途に向いている。
技術書を「最初から最後まで読む」よりも、
必要な情報を引き当てる使い方との相性が良い。
技術書を分かっているUI
- ハイライト
- メモ
- コードコピー
このあたりが最初から用意されているのは好印象。
特にコードコピーができるのは実務的にありがたい。
「写経前提」のUIではなく、現場で使う技術書として設計されているのが伝わってくる。
値段について:正直、これは安い
TechLibの個人向け料金は 月額3,080円(税込)。
10日間の無料トライアルも用意されている。
最近の国内技術書は、
- 1冊 3,000〜4,000円が当たり前
- 分厚い本だと 4,500円超えも珍しくない
という価格帯が普通だ。
その現状を踏まえると、
技術書1冊分の値段で、複数冊を横断検索できる
というのは、かなり良心的な価格設定だと思う。
冊数が少ないとはいえ、
- 章単位で内容を確認したい
- 買う前に中身を見極めたい
- 積読を増やしたくない
こういった用途では、コストパフォーマンスは高い。
正直に微妙だと感じた点
冊数はまだ少ない
ここははっきり書いておく。
現時点では冊数が少ない。
定番的な技術書は揃っているものの、
- 特定分野を深掘りしようとすると物足りない
- 「これ1本で学習が完結する」状態ではない
という印象。
TechLibだけで技術書購入を完全に置き換えるのは、まだ難しい。
最新刊・尖った専門書は控えめ
出版社構成上やむを得ない部分はあるが、
- 最新技術を追いかけたい人
- ニッチな専門分野を掘りたい人
にとっては、今後のラインナップ拡充待ちになる。
どんな人に向いているか
向いている人
- 技術書を頻繁に参照するエンジニア
- 調べ物・仕様確認が多い人
- 技術書を「読む」より「使う」人
向いていない人
- 特定分野を1冊で徹底的に学びたい人
- 最新刊を即チェックしたい人
- 紙の技術書派
まとめ:今は「見守り枠」だが、方向性と価格は評価できる
TechLibは、現時点で完成された神サービスではない。
冊数が少ないという弱点も、正直ある。
ただし、
- 運営母体は堅実
- 技術書特化の思想は明確
- 全文検索とUIの方向性は正しい
- 価格設定はかなり安い
これらを踏まえると、
今後の成長次第で化ける可能性は十分あるサービスだと思う。
現段階では、
技術書を毎回買う前に、一度調べる場所
として使うのが現実的。
技術書を日常的に使うエンジニアなら、
ブックマークして様子を見ておく価値はある。


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