はじめに
またイヤホンを買ってしまった。
しかも旅先で(笑)
今回のターゲットは KZ PRX。
AliExpressでなんと2,500円台という価格で売られていたプラナー一発モデルだ。
国内Amazonでは9,800円前後。
つまり、同じ製品が約4倍の価格差で流通している。
どう考えても価格バランスが崩壊している。
期待半分、ネタ半分で注文したのだが──
実際に聴いてみたら、「これはネタじゃなくてマジで良い方のKZ」だった。
外観と装着感
ハウジングは樹脂製(プラ製)。
見た目こそメタリック塗装で高級感を装っているが、
手に取ると軽く、やはり値段なりの質感。
ただ、軽さは正義。
長時間聴いても耳が疲れにくいのは明確なメリットだ。
付属のフジツボ型イヤピースは意外に出来が良く、
装着感も自然。浅めでも安定して密閉できる。
純正ケーブルは使わず、最初からTRN RedChain(4.4 mm バランス)を装着。
ケーブルを変えると音の密度が上がり、
特に中域と音場の張り出しが改善される。
音質 — 全帯域が素直で速い
第一印象は「KZっぽくない」。
あのギラギラした高域の暴れがなく、
全帯域が素直に出ている。
プラナーらしく、音の立ち上がりが速い。
スネアの切れ、ギターのアタック、ベースの追従。
どれも粒立ちが明確で、スピード感が心地良い。
メタルやプログレでも破綻しない。
ハイハットはやや控えめ。
高域に刺さりがないぶん、
長時間のリスニングでも疲れない。
ボーカルは少し引き気味だが、
距離感があるというより“分離の中で後ろに定位している”感じ。
情報量は十分。
感度が低く、音量は少し取りづらい。
スマホ直挿しだと音が平坦になるので、
DAPかポータブルアンプ推奨。
DX340のバランス出力だと、Hightゲインでボリューム40%を超えたあたりで音が一気に開く。
帯域別メモ
| 帯域 | 印象 |
|---|---|
| 低域 | 深く沈む。スピード感あり。ツーバス追従も問題なし。 |
| 中域 | やや遠め。ボーカルは後ろ気味だが、分離は良好。 |
| 高域 | シャリつき控えめ。スネアやシンバルが自然。 |
| 音場 | 奥行き広め。プラナーらしい立体感と空気感。 |
| 駆動力 | 感度低め。DAP・バランス出力必須。 |
他機種との比較
- LETSHUOER S12 2024
→ S12の方がより開放的で滑らか。PRXはパンチが強く、重心が低い。 - Kiwi Ears Punch
→ Punchの方が元気だが、PRXの方が解像と整理が上手い。
総評 — 「安かろう良かろう」のKZが到達した成熟点
AliExpressで2,500円台。
もはや“安いのに良い”どころか、
「この価格でこの音?」と耳を疑うレベル。
見た目は相変わらずプラ丸出しだが、
音の完成度は間違いなく一段上。
ドンシャリでありながら、
滑らかで理性的にまとまっている。
KZというブランドを長年見てきた人なら分かると思う。
このPRXは、かつてのKZとは別物だ。
“安物の奇抜イヤホン”ではなく、
“格安でまともなリスニングIEM”を作り始めた転換点。
AliExpressで見かけたら、買っておいて損はない。
RedChainなどのバランスケーブルを組み合わせれば、
5,000円以内で200ドルクラスの音が聴ける。
これが本当のコスパバグだ。
まとめ
- 価格:AliExpress 約2,500円台(Amazon 約9,800円)
- 長所:全帯域の安定感・スピード感・聴きやすさ
- 短所:見た目の安っぽさ・感度の低さ
- 向いてるジャンル:ロック、メタル、エレクトロニカ
- 評価:“理性的ドンシャリ”の完成形(価格バグ部門)



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