シーランド公国にて、気づけば私は男爵になっていました

その他

はじめに

「爵位はお金で買える」──そんな話を聞いたことがある人もいるかもしれません。
ヨーロッパの歴史を思い浮かべれば、爵位といえば血筋や功績とともに受け継がれるもの。普通に考えれば、現代の私たちが気軽に手にできるはずはありません。

しかし実際には、お金を払えば“男爵”や“伯爵”といった称号を名乗れる仕組みが存在しています。とはいえ、あくまでも法的効力や社会的地位はなく、完全に「ネタ」としての楽しみ方に限られるものです。

今回私は、そんな珍しい爵位販売を行っている シーランド公国(Principality of Sealand) で男爵の称号を購入しました。


シーランド公国とは?

シーランド公国は、イギリスのサフォーク州フェリックストー沖合およそ10kmにある、第二次世界大戦中に建設された海上要塞(HM Fort Roughs) を拠点としています。

1967年、元英国陸軍少佐ロイ・ベーツがこの要塞を占拠し、「シーランド公国」として独立を宣言しました。イギリス政府を含め、どこの国からも国家として承認されてはいませんが、シーランドは憲法を制定し、国旗や通貨、パスポートを整備。独自の存在感を保ち続けてきました。

また、過去には「データ亡命国家」としてサーバービジネスを展開したこともあり、インターネット時代のユニークな実験国家として注目された時期もあります。半世紀以上にわたって存続してきたその歴史とユーモアから、いまや世界で最も有名な“マイクロネーション”のひとつといえるでしょう。


本当に爵位を買えるのはここだけ?

「爵位販売」というと、実質的にはこの シーランド公国だけ が有名です。

似たような例としては、スコットランドで「小さな土地を購入すると“Laird(領主)”と名乗れる」という観光向けの仕組みがあります。しかし、これは観光土産の一種であり、正式な貴族制度に基づくものではありません。

また、他の自称国家でも称号を売っているところはありますが、シーランドほど知名度や歴史があるものは存在しません。
つまり「爵位をお金で買える」と聞いてピンとくるのは、シーランド公国一択 といっても差し支えないでしょう。


購入できる爵位の種類

シーランド公国の公式サイトでは、いくつかの爵位がラインナップされています。

  • Lord / Lady(数千円台でお手頃。気軽な入門編)
  • Baron / Baroness(男爵)(手頃さと貴族感のバランスが良い)
  • Count / Countess(伯爵)(響きは最高だが価格は5万円前後)
  • Duke / Duchess(公爵)(10万円超え、本格コレクター向け)

価格帯は幅広く、ロードは気軽に買える反面“お土産感”が強い一方で、公爵は圧倒的なインパクトを誇るものの値段が現実的ではありません。その中間に位置する男爵や伯爵が、ネタとしてもちょうどよい選択肢となります。


なぜ「男爵」にしたのか?

購入前は「伯爵」の響きに強く惹かれました。しかし約5万円となると、ネタとしてはやや高すぎる印象。公爵に至っては10万円超えで、これはもう完全に趣味の世界です。

そこで選んだのが「男爵(Baron)」でした。
価格は1万円弱と比較的手軽で、それでいて「Baron」という呼び名にはしっかりとした貴族らしさがあります。日常会話でサラッと名乗ってもインパクトがあり、コスト面でも現実的。まさにネタとコスパのバランスが取れた選択肢といえます。


証書が届いた!

購入手続きが終われば、あとは証書の到着を待つだけです。
数日かかるだろうと思っていましたが、予想に反して当日のうちにメールで爵位証書が届きました。

海外からのやりとりということで時間がかかると想像していたので、このスピード感は意外でした。

これで正式に Baron(男爵) を名乗れるようになりました。


ネタとしての楽しみ方

もちろん、この爵位には法的効力も社会的な特権もありません。しかし、それこそが最大の魅力でもあります。

SNSのプロフィールに「Baron」と書けばちょっとした話題になるし、飲み会で「実は俺、男爵なんだよ」と切り出せば必ず突っ込まれるでしょう。さらに、額装版を手に入れてリビングに飾れば、訪れる人からの反応は間違いなく期待できます。

こうした“ネタ”としての使い方は、日常を少し面白くするスパイスになってくれるはずです。


まとめ

シーランド公国は、イギリス沖の海上要塞から生まれた奇妙でユニークな未承認国家です。
どの国からも承認されてはいないにもかかわらず、憲法や通貨を整備し、半世紀以上にわたって存続を続けてきました。そして、その資金源のひとつとして提供されているのが「爵位の販売」です。

他にも観光土産的な称号は存在しますが、貴族制度を模して“爵位”を名乗れる場所として世界的に知られているのは、実質シーランド公国だけといってよいでしょう。

今回私はその爵位のひとつ「男爵」を購入しました。法的効力はなくても、ユーモアにあふれた体験そのものが何よりの価値です。日常のちょっとした会話やSNSのプロフィールに彩りを与え、さらに額装して飾ればインテリアとしても楽しめる。まさに“遊び心のための爵位”といえるでしょう。

次は額装版を注文し、リビングに堂々と飾る日を楽しみにしています。

コメント

タイトルとURLをコピーしました