Ethereumを使っていると「L2(レイヤー2)」という言葉をよく耳にします。
ガス代が安く、処理速度が速いネットワークとして知られますが、仕組みや種類を理解していないと使いこなせません。
この記事では、L2の基本・必要性・種類・使い方を徹底解説します。
L2(レイヤー2)とは?
L2は、Ethereum(レイヤー1)の上に構築されたスケーリングソリューションです。
トランザクションをL1外で処理し、その結果だけをL1に記録することで、安価かつ高速な利用を可能にします。
なぜL2が必要なのか?
- L1のガス代は混雑時に数千円〜数万円
- DeFiやNFTの少額利用が難しい
- 利用者増加に伴い、処理能力の限界に達しやすい
- L2は処理をまとめて記録するため、効率的かつ安価
L2の種類(2025年時点)
1. Optimistic Rollup
- トランザクションを正しいと仮定し、不正があれば後から指摘
- EVM互換性が高い
- 出金に最大7日かかる場合あり
- 例:Optimism、Arbitrum
2. ZK Rollup
- ゼロ知識証明で即座に正当性を証明
- セキュリティと速度に優れる
- 開発難易度が高く、新興プロジェクトも多い
- 例:zkSync Era、Starknet、Linea
L2の使い方(例:Arbitrum)
- ウォレット準備(MetaMaskなど)
- ネットワーク追加(公式サイトから)
- EthereumからL2にブリッジ
- L2上でDAppを利用
- 必要に応じてL1へ戻す
メリット
- ガス代が数円〜数十円
- 処理速度が速い(数秒〜数十秒)
- Ethereumのセキュリティを享受
- DApps互換性が高い
デメリット・注意点
- 資産移動にはブリッジが必須
- Optimistic系は出金に時間がかかる
- 新興L2は流動性不足やセキュリティ監査不足の場合あり
代表的なL2(2025年時点)
Optimistic系
Arbitrum One
- シェア最大のL2(TVL=預かり資産額も最大級)
- EVM互換性が高く、ほとんどのEthereum DAppがそのまま動く
- 手数料が非常に安く、送金速度も速い
- デメリット:公式ブリッジでEthereumに戻す場合、最大7日待ち
- 向いている人:UniswapやAaveなど有名DeFiを安く使いたい、取引量が多い人
Optimism
- Ethereum本体に非常に近い互換性を持ち、開発者に人気
- Coinbaseの「Base」チェーンとも技術的に近い
- コミュニティ主導のガバナンストークン(OP)を発行
- デメリット:出金遅延はArbitrumと同様
- 向いている人:新しいプロジェクトやL2開発コミュニティに関心がある人
ZK系
zkSync Era
- ゼロ知識証明による高速処理
- Ethereumに即時反映されるため、出金遅延がほぼない
- EVM互換性が高く、既存DAppの移植も進んでいる
- デメリット:まだ対応DAppや取引所が少なめ
- 向いている人:NFTミントや高速スワップなど、即時性が重要な利用
Starknet
- 独自の開発言語「Cairo」で構築
- 高性能なZK技術を採用し、将来性が高い
- DeFi以外の用途(オンチェーンゲームや大規模計算)にも強い
- デメリット:UIやウォレット周りが初心者向けとは言い難い
- 向いている人:技術好き、先行者利益を狙いたい人
Linea
- ConsenSys(MetaMask開発元)が運営
- 開発者サポートやUIの完成度が高い
- 安定性重視で、既存ユーザーの移行が進みやすい
- デメリット:まだ大規模DAppが少ない
- 向いている人:安定感のあるZK系を試したい人
L2を選ぶポイント
- 対応DAppの有無
- 出金速度
- ガス代通貨やトークン互換性
- 取引所から直接入金できるか
まとめ
L2(レイヤー2)は、Ethereumの弱点である高ガス代と低処理能力を解消するために生まれた仕組みです。
Optimistic RollupやZK Rollupといった技術を用いて、Ethereum本体のセキュリティを維持しつつ、高速・低コストな取引を可能にします。
L2を活用すれば、数千円かかっていたNFTミントが数十円で済む、DeFiでのスワップが即座に終わるなど、体験が劇的に向上します。
しかし、利用にはブリッジが必要であり、出金遅延や新興チェーンのリスクも理解しておく必要があります。
L2を安全に使いこなすためには:
- 使いたいDAppが対応しているネットワークを選ぶ
- ブリッジは必ず公式リンクから利用する
- 出金にかかる時間と手数料を事前に確認する
L2を理解すれば、単に「安くて速い」だけでなく、どのネットワークでどのサービスを動かすのが最適か判断できるようになります。
これは、Web3の資産運用やDApp利用の幅を広げるうえで欠かせないスキルです。
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