BTC(ビットコイン)は本当に“金”か?ETH(イーサリアム)は本当に“燃料”か?──暗号資産の価値とは?

投資
  1. はじめに:価値の正体を見抜く
  2. ETHの本質は「計算資源の燃料」──BTCとの対比で見えてくるもの
  3. 換金性が価値を膨張させる──BTCとETHに共通する外的要因
  4. ETHのBTCとの対比:デジタルゴールドとネットワーク燃料
    1. 希少性に依存するBTC
    2. ユースケースに支えられるETH
    3. 規制耐性の違い
    4. 投資家と開発者からの見方
    5. マクロ経済的な振る舞い
  5. 歴史と進化の対比:BTCとETH
    1. ビットコイン(BTC):Proof of Workの不変性
    2. イーサリアム(ETH):Proof of Stakeへの進化
    3. 静と動のコントラスト
  6. ステーキングと供給構造:ETHの“燃料”が金融資産になるまで
    1. ステーキング率は30%前後に拡大
    2. ステーキングが消費するのは資本だけじゃない
    3. EIP-1559のバーンメカニズムが供給をさらに絞る
    4. PoSへの移行で供給は劇的に変わった
    5. 流動性とのバランスも重要な構造要素
    6. 「金融資産としてのETH」へ進化する理由
  7. BTCとETHの希少性とは?
    1. BTCの希少性:静的な上限による絶対的な希少性
    2. ETHの希少性:動的に調整される希少性
  8. ETHとドル本位制、そしてBTCもまたドル依存
    1. ETHとドル建ての現実
    2. BTCもまたドルに依存
    3. 暗号資産は本当に独立しているのか?
  9. 規制された場合のシナリオ──ドル依存を断たれた暗号資産はどうなるか
    1. BTC:希少なだけのデータに
    2. ETH:最低限の燃料トークンとして生き残る
    3. ドラクエのゴールド化
    4. 規制が突きつける現実
  10. まとめ:BTCとETH、その価値の源泉を総括する

はじめに:価値の正体を見抜く

暗号資産の価格は日々話題になるが、「なぜそれに価値があるのか」を説明できる人は少ない。ビットコイン(BTC)は「デジタルゴールド」と呼ばれ、イーサリアム(ETH)は「分散コンピュータの燃料」とも言われる。しかし両者は表面的には似ていても、本質はまるで異なる。
ETHの価値を理解するには、「ネットワーク燃料としての内的価値」と「ドル換金性による外的価値」という二重構造を押さえなければならない。


ETHの本質は「計算資源の燃料」──BTCとの対比で見えてくるもの

ビットコイン(BTC)が誕生したとき、その価値は「希少性」に根ざしていた。Proof of Work(プルーフ・オブ・ワーク)という仕組みによって誰にも改ざんできない取引記録を積み重ね、2100万枚という供給上限によって「デジタルゴールド」としての希少性を担保した。BTCは金と同じく「持たれること」に意味がある資産であり、その利用は主に送金や保有に限られる。

これに対して、イーサリアム(ETH)の設計思想はまったく異なる。Ethereumは「分散型の世界コンピュータ」を目指し、スマートコントラクトや分散アプリケーションを動かすプラットフォームとして構築された。その基盤を支えるのがETHであり、ネットワーク上で行われるすべての計算には「ガス代」としてETHの支払いが必要になる。

つまりBTCが「希少だから価値がある」資産であるのに対し、ETHは「使うから価値がある」資産だ。BTCは保存されることで意味を持つ「貯蔵の資産」だが、ETHは消費されることで意味を持つ「燃料の資産」である。言い換えれば、BTCはデジタル社会における“金塊”であり、ETHは分散コンピュータを動かす“ガソリン”なのだ。

この対比を理解すると、両者が同じ「暗号資産」という枠に収まりながらも、全く異なるロジックで価値を持っていることがよく分かる。


換金性が価値を膨張させる──BTCとETHに共通する外的要因

ETHが「計算資源の燃料」として必須の役割を担っていることは間違いない。Ethereumを使う限りETHは消費され、その需要はゼロにはならない。だが、現実の価格水準──1 ETH が数千ドルという評価は、燃料としての実需だけでは到底説明できない。ここで決定的に効いてくるのが「法定通貨への換金性」だ。

BTCも同じ構造を持つ。希少性がどれだけ高くても、もしそれがドルや円に換金できなければ投資家は保有しないだろう。投資対象としてのBTCを支えているのは、最終的に「USD建てで価値を測れる」「取引所で法定通貨に戻せる」という安心感だ。だからこそBTCは「デジタルゴールド」として機関投資家に受け入れられた。

ETHもまた、この換金性によって価値が膨張している。DeFiやNFTを動かす燃料であると同時に、USDCやUSDTといったドル連動ステーブルコインとのペア取引を通じて、常にドル基準で評価されている。ETHが「ガソリン」であるとすれば、ドルはその“リッターあたりの値札”を決めるメートル原器のような存在だ。

つまり、BTCは希少性+換金性で価値を持ち、ETHは燃料需要+換金性で価値を持つ。本質的に両者は違う資産だが、外の世界における「価値の膨張」を支えているのは同じくドル換金性なのだ。


ETHのBTCとの対比:デジタルゴールドとネットワーク燃料

ビットコインとイーサリアムは、同じ「暗号資産」という括りで並べられることが多いが、その価値の本質はまるで違う。

希少性に依存するBTC

BTCの価値は2100万枚という厳密な供給上限に裏打ちされている。金と同じように「誰にも増やせない」という希少性が唯一無二の強みだ。投資家はこれを「デジタルゴールド」と呼び、インフレヘッジ資産として保有する。だが実際にBTCのネットワークでできることは「送金」程度であり、スマートコントラクトやアプリケーションを動かす機能は持たない。BTCは「保存されること」に価値がある、静的な資産だ。

ユースケースに支えられるETH

ETHは真逆の存在だ。Ethereum上でDeFiに参加し、NFTを発行し、DAOで投票するには必ずETHを消費しなければならない。ETHはネットワーク燃料、つまり「消費される資産」だ。BTCが「貯蔵される資産」であるのに対し、ETHは「使われる資産」である。開発者にとってはETHがなければ何もできない。Ethereumは動的な基盤であり、アプリケーションが増えれば増えるほどETHの需要が増す仕組みを持つ。

規制耐性の違い

規制の影響も違う。もし換金が禁止されれば、BTCは「希少だが使えないデータ」に近づき、存在意義の大半を失う。一方ETHは換金できなくても、スマートコントラクトを動かす燃料として残る。価格は暴落するが、ゼロにはならない。

投資家と開発者からの見方

投資家から見れば、BTCは「安全資産」に近い。希少性ゆえに金と同じ位置づけで保有されやすい。一方ETHはリスク資産寄りで、規制や技術進化に強く影響される。ただしその分、DeFiやNFTといった成長分野と直結しており、リターンの可能性は大きい。
開発者から見れば、BTCは「保存装置」、ETHは「開発基盤」だ。BTCは動かさなくても価値があるが、ETHは動かしてこそ意味がある。

マクロ経済的な振る舞い

マクロ市場での動き方も異なる。BTCは金や国債のように「リスクオフ資産」として買われやすい。一方ETHはテクノロジー株に近い動きを見せ、Web3分野の盛衰に連動する。つまりBTCは守りの資産、ETHは攻めの資産と位置づけられる。


歴史と進化の対比:BTCとETH

ビットコインとイーサリアムは同じ「暗号資産」として並び称されるが、その成り立ちや進化の歩みは正反対だ。

ビットコイン(BTC):Proof of Workの不変性

ビットコインは2009年にサトシ・ナカモトによって提唱され、「中央銀行に依存しない非中央集権的な通貨」として生まれた。誕生以来ずっと Proof of Work(プルーフ・オブ・ワーク) という仕組みを用いており、膨大な計算力と電力を使ってマイナーが競争し、新しいブロックを生成する。

この仕組みは電力消費こそ大きいものの、圧倒的な堅牢性とシンプルさを持ち、誰もが同じルールで競争することで「改ざん不可能性」を担保してきた。BTCの歴史は「変わらないこと」に価値を見出してきた歴史だ。2100万枚という供給上限も最初から固定されており、この不変性こそがBTCを「デジタルゴールド」として機関投資家に評価させる要因になっている。

イーサリアム(ETH):Proof of Stakeへの進化

一方のイーサリアムは、登場以来「変化し続ける」ことで価値を積み上げてきた。2016年のThe DAO事件では、ハッキングで大量のETHが失われたが、コミュニティはハードフォークという大胆な決断を下し、EthereumとEthereum Classicに分岐した。ここで示されたのは、ETHがコードだけでなく「合意形成によって価値を守る」存在であるということだ。

さらに2022年の「Merge」によって、Ethereumは Proof of Work から Proof of Stake(プルーフ・オブ・ステーク) へと歴史的な移行を遂げた。PoSではETHをステーク(預け入れ)することでネットワークの安全を担保し、その見返りに報酬を受け取る。これにより電力消費は99%以上削減され、供給構造も「ステーキングによるロックアップ」と「バーン(焼却)」によってデフレ的に制御されるようになった。

静と動のコントラスト

BTCの価値は「設計を変えないこと」に支えられている。シンプルで不変だからこそ安心感を生み、デジタルゴールドとして信頼される。一方ETHは「設計を変えること」を恐れず、進化を重ねることで新しい価値を作り出してきた。

BTCは「静」であり、ETHは「動」である。BTCは不変性に価値を持ち、ETHは進化そのものに価値を見出す。これが両者の歴史の本質的な違いであり、同じ暗号資産でありながらまったく異なる役割を担っている所以だ。


ステーキングと供給構造:ETHの“燃料”が金融資産になるまで

ステーキング率は30%前後に拡大

現在、イーサリアムの供給のうち約30%近くがステーキングされ、ネットワークのセキュリティの基盤になっています。具体的には、すでに 3,684万 ETH(約27~30%) がステークされているというデータがあります。これは市場に出回らない資産として回り、即時の流動性として使われなくなるため、ETHの供給量の実質的な縮小につながっています。

ステーキングが消費するのは資本だけじゃない

さらに重要なのは、ステーキングにより流通しているETHがロックされることによって、市場に出回るボリューム自体が抑えられる点です。機関投資家や取引所、トレジャリーなどが大量にETHをステークする動きが強まっており、これが価格支持の強力な要因となっています。

EIP-1559のバーンメカニズムが供給をさらに絞る

イーサリアムには、トランザクション時に発生する手数料の一部をバーン(永久焼却)する仕組みもあります。2021年導入の EIP‑1559 により、現在までに 数百万 ETHが焼却 されており、これがETHの供給縮小に実際に寄与しています。ネットワークの利用が増えるほどバーン量が増え、ETHの希少性が高まる一方で、ステーキングと相まって「使われつつ減っていく資産」という強力な価値構造になっています。

PoSへの移行で供給は劇的に変わった

「Merge」による Proof of Work から Proof of Stake(プルーフ・オブ・ステーク) への移行は、ETHの供給動向に大きな影響を与えました。これにより発行量は 90%以上削減され、マイニング報酬が激減し、供給のインフレ圧力が一気に弱まりました。さらに、ステーキングとバーンの組み合わせによって、全体構造が「デフレ寄り」へと大きく傾いています。

流動性とのバランスも重要な構造要素

ただし、供給が絞られる一方で「流動性過剰」やアンステーキングによる供給返却も起こります。現在約 4.6億 ETHがアンステーキング待機中 で、最長17日程度の待機期間があります。しかし、実際は機関が多くを吸収しており、市場に即時供給される量よりも「吸収=維持」の動きが目立っているのが現状です。

「金融資産としてのETH」へ進化する理由

ステーキング報酬は年率 約3–6% と伝統的金融資産と比べても十分魅力的な水準であり、ETFを通じた機関参入も進んでいます。このような構造変化が、「ETHが燃料としてだけでなく、ステーキング×バーン×ETFで支持される金融資産」に進化していることを物語ります。


BTCとETHの希少性とは?

BTCの希少性:静的な上限による絶対的な希少性

ビットコインの希少性は、総供給量が2100万枚に固定されているという一点に尽きる。Proof of Work(プルーフ・オブ・ワーク)によってマイニングされる新規BTCは年々減少していき、やがてゼロになる。
これは「金(ゴールド)」に近い考え方で、自然界から新しい金を掘り出せる量が限られているように、BTCも新たに発行される量が物理的に制約されている。BTCの希少性は「不変性」によって支えられており、どんな環境変化があっても2100万枚という上限は変わらない。つまりBTCは静的で絶対的な希少性を持つ。


ETHの希少性:動的に調整される希少性

これに対してイーサリアム(ETH)は、供給上限が固定されていない。その代わりに、Proof of Stake(プルーフ・オブ・ステーク)とEIP-1559のバーンという二つの仕組みによって、希少性が「動的に」作られている。

  • ステーキング:ETHをネットワークに預けてバリデータになることで報酬を得られるが、その間は市場に出回らない。結果として流通量が減り、需給が引き締まる。
  • バーン(焼却):トランザクション手数料の一部は自動的に焼却されるため、利用が増えるほど供給が減る。

この二つの仕組みにより、ETHは「使われるたびに減る」設計になっている。特にネットワーク利用が増える局面では、発行よりバーンの方が多くなり、実質的にデフレ通貨に近い動きを見せる。つまりETHは動的で相対的な希少性を持つ。


ETHとドル本位制、そしてBTCもまたドル依存

BTCとETH、それぞれの希少性は大きく違う。BTCは2100万枚という絶対的な上限で希少性を確保し、ETHはステーキングとバーンによって動的に供給を引き締めることで希少性を生み出している。だが、この「内部での希少性」だけでは、現在の膨大な市場価値は説明できない。両者の価格を押し上げている最大の要因は、結局のところ「ドルへの換金性」である。

ETHとドル建ての現実

Ethereumの世界では、一見するとETHが基軸通貨のように見える。だが、実際にユーザーがDeFiで資産運用をする際、最も重要な役割を果たすのは USDCやUSDTといったドル連動型ステーブルコインだ。流動性プールの主流は「ETH/USDC」や「ETH/USDT」であり、NFTの価格もほぼ「ETH建てで提示 → ドル換算」で理解されている。つまりETHは「ネットワーク燃料」としての役割を持ちながらも、その市場価格は常にドル基準で評価されている。

ETHが「使われる資産」であっても、その「値札」を決めているのは結局ドルなのだ。燃料でありながら、価値の単位としてはドルに従属している。

BTCもまたドルに依存

「BTCは独立した通貨体系だ」と語られることがある。しかし、投資家がBTCを保有する最大の理由は「ドルや円に換金できる」からだ。2100万枚という上限がいくら絶対的であっても、それを測る物差しは「BTC/USD」レートであり、ドルという基準なしには価値を共有できない。

つまりBTCもETHも、内部では異なる希少性の仕組みを持ちながらも、外部世界ではどちらもドルという軸に従属している。BTCは「ドルに換金できる希少データ」として、ETHは「ドル換算可能な燃料通貨」として成立しているに過ぎない。

暗号資産は本当に独立しているのか?

ここに、暗号資産の本質的な矛盾がある。BTCもETHも「ドル換金性」がなくなれば、価値は大幅に縮小する。BTCはほぼ「希少なだけの数字」と化し、ETHは「Ethereum内部でしか通用しない燃料トークン」となる。つまり、暗号資産は一見「独立した通貨体系」を標榜しながら、現実にはドル本位制の延長線上にある並行経済に過ぎないのだ。


規制された場合のシナリオ──ドル依存を断たれた暗号資産はどうなるか

BTCもETHも、それぞれ異なる形で希少性を持ち、内部経済の仕組みを備えている。しかしその価値が大きく膨張してきたのは、最終的に「ドルに換算できる」という外的要因のおかげだ。では、もし規制によってその換金の回路が断たれたらどうなるのだろうか。

BTC:希少なだけのデータに

ビットコインは「2100万枚という絶対的な上限」による静的な希少性を持つ。だがその価値は常に「1 BTC = ○○ドル」といった形で表現されてきた。もしドルや円に換金できなくなれば、BTCはただの「希少性を持った数字データ」に過ぎなくなる。ゴールドは装飾や産業用途があるが、BTCにはそれがない。換金性を失った瞬間、BTCは「希少ではあるが利用価値がないデータ」と化し、存在意義の大半を失うだろう。

ETH:最低限の燃料トークンとして生き残る

一方のETHは「Ethereumを動かす燃料」というユースケースを持っている。スマートコントラクトを実行するためにはガス代としてETHが不可欠だ。換金ができなくなれば価格は暴落するが、Ethereumを使いたい人にとってETHは依然として必要であり、完全にゼロにはならない。もっとも、その姿は「Ethereumというゲーム世界でしか通用しない通貨」に近い。

ドラクエのゴールド化

この状況はゲームの通貨に例えるとわかりやすい。ドラクエのゴールドはゲーム内では必須だが、外の世界では無価値だ。BTCやETHも換金の道を断たれれば同じだ。BTCは「希少なだけの数字」となり、ETHは「Ethereum内部でしか意味を持たないトークン」となる。

規制が突きつける現実

結局、BTCもETHも「ドル換金性」に依存して市場価値を膨張させている。BTCは「ドルに換金できる希少データ」、ETHは「ドル換算できる燃料通貨」。どちらも独立した通貨体系を標榜していながら、現実にはドル本位制の延長線上にある並行経済に過ぎない。規制によってその換金の回路が遮断されれば、両者の価値は大幅に縮小し、その本質的な姿があらわになる。

まとめ:BTCとETH、その価値の源泉を総括する

ここまで見てきたように、ビットコイン(BTC)とイーサリアム(ETH)は同じ「暗号資産」という枠組みに分類されるが、その価値のあり方は根本的に異なる。

BTCは Proof of Work(プルーフ・オブ・ワーク) に基づく不変性を武器に、2100万枚という供給上限と改ざん困難なネットワークを保ち続けてきた。変わらないことが信頼を生み、希少性そのものが価値を支えている。つまりBTCは「保存されること」によって意味を持ち、デジタルゴールドとして機関投資家や個人投資家に受け入れられてきた。

一方ETHは、登場以来「変化し続ける」ことで進化を遂げてきた。The DAO事件ではハードフォークによる合意形成を選び、Mergeでは Proof of Stake(プルーフ・オブ・ステーク) への歴史的移行を果たした。ステーキングとバーンによって供給はデフレ的に傾き、ETHは「使うこと」に価値を持ちながら「金融資産」としての魅力も強化されている。つまりETHは「消費されることで意味を持つ資産」だ。

両者の違いは規制への耐性にも表れる。もし法定通貨との換金が禁止されれば、BTCは「希少なだけのデータ」に近づくリスクを抱える。ETHも暴落は避けられないが、Ethereumを利用する限り燃料としての最低限の需要は残り続ける。BTCは「換金できなければ意味を失う資産」、ETHは「換金できなくても動き続ける資産」なのだ。

ただし、どちらも本質的には「ドル本位制」に依存している。BTCもETHも、その価格を測るときには結局「USD」を基準にしている。ETHの世界ではUSDCやUSDTといったステーブルコインがDeFi経済を支えており、BTCも「1 BTC = ○○ドル」という物差しでしか評価されない。つまり暗号資産は法定通貨から自由な存在であるかのように語られるが、現実にはドルという軸から逃れられていないのだ。

総括すると──

  • BTC は「変わらないことに価値がある」デジタルゴールド。
  • ETH は「変わり続けることで価値を作る」分散コンピュータの燃料。
  • 両者は対極的な性格を持ちながらも、いずれも「ドル換金性」という外的要因に強く依存している。

BTCは静的で守りの資産、ETHは動的で攻めの資産。暗号資産の未来を考えるとき、この二つの資産の性格の違いを理解しておくことは欠かせない。

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