はじめに
SENNHEISERの完全ワイヤレスイヤホン「MOMENTUM True Wireless 5(MTW 5)」が届いたので、さっそく聴いてみた。
MOMENTUM True Wirelessシリーズもついに5世代目。
完全ワイヤレスイヤホンはここ数年で本当に音が良くなっていて、最近では各メーカーの上位モデルになると「ワイヤレスだから」という言い訳をする必要もほとんどなくなってきた。
そんな中でゼンハイザーがMTW 5をどう仕上げてきたのか。
まだ使い始めたばかりなので、今回はANCや通話性能などを含めた総合レビューではなく、まずは音質を中心にファーストインプレッションを書いてみたい。
結論から言ってしまうと、
かなり自然。派手ではない。でも音楽をちゃんと気持ちよく聴かせる。
実にSENNHEISERらしいイヤホンだった。
MOMENTUM True Wireless 5
MTW 5はゼンハイザーの完全ワイヤレスイヤホンのフラッグシップモデル。
TrueResponseトランスデューサーを採用し、アダプティブANC、Bluetooth 6.0、3D Dolby Atmosなどにも対応する。
バッテリーはイヤホン単体で最大12時間、充電ケース込みでは最大40時間。
価格も約5万円なので、完全にプレミアムTWSのカテゴリーだ。
いまや5万円前後の完全ワイヤレスイヤホンも珍しくなくなったとはいえ、冷静に考えるとなかなかいい値段である。
当然ながら音にも期待したい。
第一印象は「かなりナチュラル」
最初に聴いて感じたのは、
ああ、SENNHEISERだな。
ということだった。
特定の帯域を派手に強調して解像感を演出するタイプではない。
低域、中域、高域のつながりが自然で、どこかだけが妙に主張してくることもない。
それでいて退屈な音というわけでもない。
最近のハイエンドTWSには、最初の数秒で「おお、すごい」と思わせるためなのか、高域のエッジや低域の量感をかなり強調したモデルもある。
MTW 5はそういう方向ではない。
少し聴いただけだと地味に感じる人もいるかもしれないが、数曲聴いていると、
「これ、かなりちゃんと作られてるな」
と思えてくるタイプだ。
低域はしっかり出る。そして少し「跳ねる」
ナチュラルな音というと、低域まで大人しい音を想像するかもしれない。
MTW 5はそうではない。
低域の量感はちゃんとある。
キックもベースも存在感があり、重低域まで不足感は感じない。
ただし、低域を大量に盛ってズンズン押してくるタイプでもない。
個人的に面白いと感じたのは、低域が少し跳ねるような鳴り方をすること。
ズシーンと重く沈んで残るというより、
ポンッ、ポンッと弾力を感じる低域。
ベースラインの動きも追いやすく、リズムが気持ちいい。
低域の量を出しながら必要以上に重たくならないので、全体のナチュラルな印象も崩していない。
ここはかなり好きなところだ。
ボーカルはしっかり前に出る
そしてMTW 5で特に好印象だったのがボーカル。
ボーカルはしっかりと中央前方に定位する。
音場の広いイヤホンでは、空間を広げる代わりにボーカルまで少し遠く感じることがある。
MTW 5はそうならない。
左右にはしっかり空間があるのに、ボーカルは中央にきちんと芯を持って存在する。
低域にもそれなりの量感があるが、中域が低域に埋もれてしまう感じもない。
女性ボーカルも男性ボーカルも自然で、声そのものの質感をあまり弄らずに聴かせる印象。
ボーカルを妙に近づけるような味付けではないのだが、存在感はちゃんとある。
この辺のバランスはかなり上手い。
高域は派手に伸ばさない。でもマスクされない
高域については、
ものすごく伸びる!
というタイプではない。
例えば高域を強調したイヤホンのようなキラキラ感や、鋭いエッジはあまり感じない。
ただし、高域が丸められていたり、低域や中域にマスクされている感じもない。
シンバルやハイハットもしっかり聴こえるし、音の抜けも悪くない。
つまり、
高域を目立たせるのではなく、必要な高域はきちんと出す。
そんなチューニングに感じる。
ここもゼンハイザーらしい。
高域を強調すると一聴したときの解像感は高く感じやすいが、長時間聴いていると疲れることもある。
MTW 5は高域で無理に解像感を演出していない。
音場はかなり広い
そして意外だったのが音場。
結構広い。
左右方向だけでなく、前後方向にもある程度の奥行きを感じる。
しかも先ほど書いた通り、ボーカルが遠くならない。
中央にボーカルをしっかり置き、その周囲に楽器が展開していくような鳴り方をする。
ただ単純に音を左右へ広げただけではなく、定位も比較的分かりやすい。
ライブ音源や音数の多い楽曲では、この音場の広さがかなり効いてくる。
ナチュラル系の音作りと広めの音場は相性が良く、閉塞感がない。
個人的にはMTW 5の大きな長所のひとつだと思う。
派手さではなく「違和感のなさ」
MTW 5を聴いていて思うのは、
何か特定のポイントで圧倒してくるイヤホンではない
ということ。
低域だけならもっと強烈なイヤホンはある。
高域の煌びやかさならもっと派手なイヤホンもある。
解像感を前面に押し出すモデルもある。
しかしMTW 5は、それらを全部ほどほどにまとめながら、全体として非常に自然に鳴らしてくる。
低域はしっかり出る。
ボーカルは前に定位する。
高域もマスクされない。
そして音場は広い。
それらが喧嘩しない。
この「違和感のなさ」がMTW 5の一番の魅力なのかもしれない。
かなりSENNHEISERらしいTWS
最近の完全ワイヤレスイヤホンは本当に個性が強くなった。
SONY、Technics、Bowers & Wilkins、Audio-Technicaなど、それぞれかなり方向性が違う。
そんな中でMTW 5は、
「SENNHEISERならこういう音を作るよね」
という期待を裏切らない。
自然な音色。
十分な低域。
しっかりしたボーカル。
刺激的すぎない高域。
そして広い音場。
特に奇抜なところはない。
でも、それでいい。
むしろ5万円近いイヤホンだからこそ、変な味付けをせず、いろいろなジャンルを安心して聴けるというのは大きな価値だと思う。
まとめ
まだ届いたばかりなので評価はこれから変わるかもしれないが、現時点でのMTW 5の印象はかなり良い。
一言でまとめるなら、
「低域に適度な弾力を持たせた、広い音場のナチュラルサウンド」
といったところ。
特に印象に残ったのは、
- 全体的に非常に自然な音
- 量感がありながら重たすぎない低域
- 少し跳ねるような低域のリズム感
- ボーカルがしっかり前に定位する
- 高域を強調しすぎないのに抜けが良い
- 音場がかなり広い
あたり。
派手なドンシャリや強烈な解像感を求める人には、最初は少し大人しく感じるかもしれない。
一方、
「自然だけど退屈ではない音」
を求めるなら、かなり面白いTWSだと思う。
そして何より、聴けばちゃんとSENNHEISERだと分かる。
こういう音を完全ワイヤレスで普通に楽しめるようになったのだから、TWSもずいぶん進化したものだ。
もう少し使い込んだら、ANCや外音取り込み、操作性、接続安定性、バッテリーなども含めて改めて評価してみたい。


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