ノマドは心のモチベーション|旅をしながら一週間ごとに街を変えて暮らすフリーランスエンジニアの本音

はじめに

フリーランスのWebエンジニアとして、旅をしながらコードを書く生活を続けています。
今のスタイルは「1週間ごとに街を変える」暮らし。平日は仕事、土曜日は撤収と移動、日曜日は観光。
このサイクルを繰り返す日々は刺激的で楽しい一方、心理的にも体力的にもさまざまな影響があります。

自宅でリモート作業をしていると、どうしても「一日中こもっている」という閉塞感が強くなりがちです。
でも、旅をしながら同じようにパソコンに向かっていても、不思議とそうは感じない。
街を変えることが「心の換気」になり、引きこもり感を打ち消してくれるのです。

この記事では、そのリアルを小さな習慣や感情の揺れまで含めて細かく書き残してみます。


土曜の朝:毎週やってくる小さな引っ越し

撤収作業の憂鬱

1週間のサイクルは、土曜日の朝の撤収作業から始まります。
机の上に広げていたキーボードやモニターを片付け、ケーブルを巻き取り、スーツケースに詰め込む。

この作業は正直、面倒です。
まるで小さな引っ越しを毎週しているような感覚。
寝起きのまだぼんやりした頭でケーブルをまとめていると「なぜこんな生活を選んだんだろう」と一瞬考えてしまうほど。

移動が始まると気持ちが変わる

しかし、駅へ向かう頃には気分が変わり始めます。
キャリーケースを転がすゴロゴロという音も、新しい街へ向かっている実感を与えてくれる。
列車に乗り込み、シートに腰を下ろした瞬間、胸の奥の緊張がふっと解けます。

そして窓の外に流れる景色が切り替わるたびに「今週はここで暮らすんだ」と高揚感がこみ上げる。
憂鬱から高揚へ──この振れ幅は毎週必ず訪れるサイクルです。


移動という楽しみ

駅でのお決まりの儀式

長距離移動の日には必ず「お茶と駅弁」を買います。
売店で「今日はどれにしようか」と迷う数分が、ちょっとした旅の儀式。

車内で席に座り、ペットボトルのキャップをひねってお茶をひと口。
冷たい飲み物が喉を通るだけで、移動への憂鬱が和らぎます。
駅弁の包みを開けた瞬間、ただの移動は「旅の楽しみ」に変わるのです。

音楽と配信と景色

イヤホンを耳に差し、音楽やVTuberの配信を聴きながら景色を眺めます。
田んぼ、山、川、海、街──流れていく景色と音が重なる瞬間、胸が自然と高鳴る。
同じ時間でも「在宅勤務の孤独な昼」とはまったく違うリズムがあります。

移動の心理的意味

移動はただの手段ではなく、前の街と次の街をつなぐ通過儀礼です。
撤収の憂鬱を洗い流し、新しい生活へと心を切り替える。
むしろ移動そのものが「旅の一部」なのだと感じます。


道具が与える安心感と荷物の重さ

フルセットの安心感

持ち歩いている仕事道具は次の通りです。

  • Realforce RC1 Keyboard
  • Apple Trackpad 2
  • MacBook Air
  • モバイルモニター(18.5インチ・上下2画面)

このセットを広げれば、どんな街でも「自分のオフィス」が再現されます。
机の上だけは変わらない──その安定感が心を支えてくれるのです。

荷物としての負担

ただし、このセットはスーツケースの中で大きなスペースを取り、重さも無視できません。
階段を登るときや、長い移動のときには「もうMacBook Airだけでいいんじゃないか」と思うこともあります。

しかし実際にMacBookだけで仕事をすると、必ず「やっぱりモニターとキーボードが欲しい」と思う瞬間が訪れる。
安心と効率を取るか、軽さと気楽さを取るか──その葛藤を毎週繰り返しています。


荷物の置き方と机が狭いときの工夫

標準配置の安心感

宿に着いたらまずやるのは荷物の配置。

  • スーツケースはドア付近に置く
  • モニターはデスク中央に置き、その他の道具は概ね同じレイアウトで並べる
  • ケーブルや充電器はデスクの端にまとめる

「標準配置」を繰り返すことで、どの街でも短時間で自分の環境を整えられる。
部屋は違っても机の上だけは同じ──これが心理的安定剤になっています。

狭い机での割り切り

机が狭くフルセットを広げられない場合は、MacBook Airだけに切り替えます。
効率は落ちても「今日は臨時オフィス」と割り切れば、かえって集中できることもある。

フルセットの「安定感」とMacBookだけの「没入感」。
二つの状態を行き来することが、この生活にリズムを与えています。


平日の朝のルーティン

新しい街の部屋で目を覚ますと、まずカーテンを開けます。
昨日まで海が見えていたのに、今日は山並みが広がっている──その変化が「今週はここにいる」と実感させてくれる。

次に、昨晩のうちに買っておいた缶コーヒーを開けます。
プルタブの音と香ばしい香りが、朝のスイッチ。
街は変わっても同じ味に出会えることが、心理的な安心感を生みます。

コーヒーを飲みながらMacBookを開き、タスク管理を確認する。
「缶コーヒー+MacBook」で始まる朝のルーティンが、移動生活を安定させています。


散歩の距離感

新しい街に着いたら、まず散歩をします。
スーパーやコンビニの場所、駅までの道、川沿いの小道。
最初の散歩で「生活の半径」を把握するのです。

夜の散歩も欠かせません。
街灯の明るさや虫の音、車の多さ──それぞれの街の個性が静けさに表れます。
散歩を重ねることで「この街に住んでいる」という感覚が芽生えていきます。


一人の自由と街歩き

1週間の滞在では人と深く関わるのは難しいですが、僕は孤独をあまり感じません。
むしろ一人で自由に行動できることをポジティブに楽しんでいます。

平日でも、たまに仕事を早めに切り上げて観光に出かけます。
「この街に来たからこそ味わえる時間」が心をリフレッシュさせ、翌日からのモチベーションにもつながります。


食事がもたらすモチベーション

街ごとに変わる食事は、大きな楽しみです。

仕事終わりにその街の美味しいものを食べると、一日の疲れが吹き飛びます。
「ここに来てよかった」と思える瞬間です。
次の街では何を食べよう──その期待が旅を続けるエネルギーになります。

一方で、スーパーの惣菜やコンビニ弁当の日もあります。
「今日はシンプルに」と割り切ることも、この暮らしのリズムの一部です。


休みのなさと疲労感

この生活には「完全な休みの日」が存在しません。

  • 土曜日は撤収と移動
  • 日曜日は観光
  • 平日は仕事

観光は楽しいですが休息ではありません。
ときには「あれ、自分ちょっと疲れてるな」と感じる瞬間もあります。


睡眠が支える安定

だからこそ僕は、夜に8時間以上眠ることを徹底しています。
街が変わるたびに生活リズムは揺さぶられますが、睡眠だけは変えない。
それが心身をリセットし、また次の一週間を支えてくれます。


この生活が向いている人・向かない人

向いている人

  • 環境の変化を楽しめる人
  • 一人の時間をポジティブに過ごせる人
  • 道具や習慣で安心感を作れる人
  • 食や観光にモチベーションを見出せる人
  • 小さな不便を「ネタ」として楽しめる人

向かない人

  • 環境の変化がストレスになる人
  • 荷物の多さや移動が苦痛な人
  • 完全な休みがないと疲れてしまう人
  • コミュニティに根を下ろして生活したい人

まとめ

1週間ごとに街を変える暮らしは、小さな心理実験の連続です。
撤収の憂鬱、新しい街での高揚、移動そのものの楽しさ、道具がくれる安心と重さ、狭い机での割り切り、毎朝のルーティン、散歩、一人の自由、食事の喜び、そして睡眠が支える安定。

自宅でリモート作業をしていると「一日中こもっている」という閉塞感に包まれることがあります。
でも、旅をしながら同じように仕事をしていると、不思議とそうは感じません。
窓の外の景色が毎週変わり、部屋を出れば新しい街並みが広がっている。
それだけで「引きこもり感」は消え、心は自然と外へ向かっていきます。

結局のところ、疲労感も含めて、旅をしながら仕事をし、観光や食を楽しむこと自体が、明日への活力になっているのです。

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